私たちは日々、仕事・人間関係・日常生活の中でさまざまなストレスに直面します。大切なのは「ストレスがあるかどうか」ではなく、「それをどう乗り越えるか」です。そのときに役立つのがコーピング(coping)、つまり「ストレスへの対処方法」です。
今回はストレスのコーピングについて、解説していきたいと思います。
目次
3つのコーピングについて
コーピングには大きくわけて3つあり、
人によってよく用いる(得意なもの、苦手なもの、使ったことのないもの)があります。
みなさんは普段、どのようなコーピングをしているでしょうか?
1.問題中心コーピング
ストレッサー(ストレスの要因となる刺激)そのものの打開策を立て直す方法。
解決のための情報収集、助言の積極的な取り入れ、プランニングなど、状況を改善するための行動を起こす対処。
例)課題をメモや付箋に書き出す。解決のための手段を検索する。
2.情動中心コーピング
ストレス反応を低減するための方法
問題そのものの解決へは向かわないが、一時的なストレスの低減や、そもそも解決が難しい課題に有効。
例)状況についての捉え方を変えてみる。自分の感情・つらさを言葉や絵で表現する。
3.回避中心コーピング
ストレッサー自体から物理的・心理的に距離をとるように工夫すること。
別のことに没頭することで、心理的な緊張を軽減する。
例)たっぷりと寝る。買い物をする。スポーツや趣味、飲食を楽しむ。考えたくないこと以外のことで忙しくする。
コーピングの分類のしかた
上記でご紹介した3つのコーピングを具体的な行動を例に6つに分類します。
①問題解決 ・・・問題中心コーピング
②積極的認知対処 ・・・情動中心コーピング
③ソーシャルサポート ・・・情動中心コーピング
④自責 ・・・情動中心コーピング
⑤希望的観測 ・・・情動中心コーピング
⑥回避 ・・・回避中心コーピング
④自責と⑤希望的観測、⑥回避の3つのコーピングの種類は、ついつい行ってはしまうものの、これらが続くと不安や落ち込みなどネガティブな気持ちが大きくなりやすいことが知られています。
ただし、「⑥回避」は、問題自体が解決できない大きな出来事であったり、ポジティブな面をとらえづらいこと、あまり強烈な情動がある場合には、有効なコーピングとなります。
コーピングの分類①:問題解決
問題状況を解決のために分析し、状況を変化させるための行動を実行すること。
このコーピングが得意な人は同じ問題が起こった時に、ストレス反応(不安感)を感じにくくなります。
→対応策を知っているため、問題を問題と感じにくくなる。
対応策がすぐに解決につながらない場合を想定して、解決策のアイデアも複数思いつくとなお良いですね。
コーピングの分類②:積極的認知対処
事態の明るい面や、自己の成長に役立つ側面を見つけて「考え方」や「捉え方」を変えることによって心を落ち着けること。
直接ストレッサーに働きかけるわけではないので、問題の解決にはつながらないが、気持ちの整理につながる。例)叱られたのは見込みがあるから・・・?
ストレスに感じる出来事の中に「自分にとって好ましい一面」を見出すこともまた、ストレッサーの意味づけを変えることになります。
コーピングの分類③:ソーシャルサポート
人から助言を求めるように試すこと、実際に何らかの援助を求める行動をとること、人に共感や理解を求めること。
ストレスとなる出来事についての情報を集める。話すことで気持ちが安定する。ストレッサーを共有する。コーピングの仕方を学ぶことができる・・・など多様なメリットがあります。
「だれかに助けを求められる」と思えるだけで、ストレスの度合いは低くなりやすいです。
コーピングの分類④:自責
※ストレスコーピングとしてはあまり有効ではないものの一つ
「自分に非がある」と思い込むことで問題を理解しようとする。
ストレスの原因に対して受け身的になり、コントロール感がなくなる。
内罰的になり自分を責めてしまって、問題を一人で背負いがちになり不安が高まりやすい。
「あの時こうしていたら・・・」という“過去”ではなく「次はどうしようか?」という“未来”に視点を向けることで、自責のループから脱しやすくなります。
コーピングの分類⑤:希望的観測
※ストレスコーピングとしてはあまり有効ではないものの一つ
確実に起こるわけではない現実的ではない想像をすることで、気持ちを整理しようとすること(こうなれば、あぁなれば・・・)
視点は未来に向いている一方で、現実的にコーピングするためのアイデアとの間にギャップがあります。
現在への自分の境遇への不満から起こりやすいです。想像することで気持ちが楽になる良さに加えて、「実現可能かどうか」という視点を入れると、さらに有効なコーピングに移行しやすいですね。
コーピングの分類⑥:回避
ストレッサーの種類によって有効度が異なります。
問題状況を直視せずに距離をとるような行動や思考をすること。
ストレッサー(現実)から精神的or行動的に回避することは、一時的に不安感などを下げるものの、問題の解決を遅らせたり、自体を悪化させることにもつながりやすいです。
また、飲食や生活リズムの変化に関連した回避行動をとると、直接的な健康への影響も出やすくなります。(食べ過ぎ、飲みすぎ、睡眠の変化)
ただし、大きな出来事(深刻なライフイベントなど)や肯定的に考え直すことが難しいストレスの原因に対しては有効です。
まとめ
コーピングの分類をみて、自分はこれをやりがちだなと思った方も多いのではないでしょうか?
人それぞれコーピングには「クセ」があり、得意なコーピングそうではないコーピングがあります。
問題中心、情動中心、回避中心、それぞれ効果があり、どの方法が良い、悪いではなく、状況に応じて柔軟に組み合わせることが大切です。
ストレスの原因は多種多様なため、コーピングのレパートリーを増やしおくことが重要になります。
一つの方法に頼りすぎず状況に応じて柔軟に対応していきましょう!
今日も最高の学びがありますように!それではまた。


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